NISSEI商品導入店のご紹介Introduction Case
熊本の銘菓がソフトクリームに!
「陣太鼓ソフト」が大人気です。
Interview
「陣太鼓ソフト」にかける思いやヒットの要因を
営業部の児玉さんと熊本城香梅庵の野口さんに伺いました。
完全復旧をめざす熊本城のお膝元で笑顔のおもてなしを
熊本地震によって甚大な被害を受けた熊本城ですが、人々の復興への願いを込めて、2037年の完全復旧に向けた復元工事が着実に進められています。修復作業の様子を見ようと今もたくさんの人が国内外から訪れており、その見学・散策コースを中心ににぎわいも戻っています。見学の起点となるのが熊本城のお膝元にある「桜の馬場 城彩苑」です。城下町の風情を感じながら熊本の食文化も楽しめるエンターテインメント施設で、お食事・お土産処「桜の小路」には県下選りすぐりの23のお店が軒を連ねています。その中の1軒が熊本を代表する銘菓「誉の陣太鼓」や「武者がえし」などを販売する「熊本城香梅庵」。お菓子の香梅が運営する基幹店舗で、笑顔のおもてなしでお客さまをお迎えしています。


最新ヒット商品は「陣太鼓ソフト」
お菓子の香梅は、熊本県民なら知らない人がいないと言ってもいいほどに広く親しまれている老舗企業。「くつろぎのごちそう」を理念に掲げ、阿蘇の伏流水に恵まれた工場で厳選した材料から作られる風味豊かな和洋菓子を、県内一円に展開する直営店などで販売しています。そんなお菓子の香梅の最新のヒット商品が、なんと和菓子でも洋菓子でもないソフトクリーム。その名も「陣太鼓ソフト」です。「熊本城香梅庵」でも2013年の発売以来、行列ができるほどの大人気で、お店の看板商品としてすっかり定着。名前からわかる通り、銘菓「誉の陣太鼓」をアレンジしたソフトクリームなのですが、味わいも食感も、似たものがどこにもないオリジナルのソフトクリームとして完成しています。

銘菓「誉の陣太鼓」という財産があったからこそ
「陣太鼓ソフト」の何が人々を惹きつけているのでしょう。開発段階から携わっている児玉さんは「陣太鼓ソフトが誕生したのはまさにキセキ」だと言います。キセキは様々な要因がピタリと重なって生まれるもの。まず第1の要因は銘菓「誉の陣太鼓」そのものにあります。児玉さん曰く、「誉の陣太鼓は先輩たちが伝統の製法を守り、大切に育ててきた特別な商品」で、「この財産があったからこそ」開発できたとのこと。「誉の陣太鼓」は、秘伝の蜜で炊き上げた風味豊かな北海道産大納言あずきの餡の中に、熊本産のもち粉をじっくり練り上げたやわらかな求肥を包んだ創作和菓子。小豆と求肥が合わさってかもし出す絶妙な食感とキレのよい甘さが特徴で、それが偶然にもソフトクリームにマッチしたというのです。


「誉の陣太鼓」を
若い世代にアピールしたい
第2のキセキの要因は、企業として新たな試みを模索していたタイミングです。お菓子の香梅では、店頭に「陣太鼓氷柱」を設置して涼を提供する夏のイベントを継続しており、今では熊本の風物詩になっています。氷柱から溶かして取り出した「誉の陣太鼓」は無料でもらえるとあって子どもたちに大人気で、小さい頃から「誉の陣太鼓」に触れてもらう絶好の機会になっています。「そこからの展開として、子どもたちだけでなく、誉の陣太鼓をまだ食べたことがない若い世代に広くアピールできるいい方法はないものかというのが、本社営業陣の抱える課題でした」と児玉さん。ソフトクリームはターゲット層への訴求にピッタリの商品だったのです。

「誉の陣太鼓」とソフトクリームのキセキの出会い
「熊本城香梅庵」がオープンしたこともあり、「新たな名物として、銘菓とソフトクリームを合わせた新商品はできないか」というアイデアが社内で持ち上がり、日世をパートナー候補に挙げていただいたこともキセキの第3の要因と言えるでしょう。NISSEIには他メーカーにはない「ブレンドシステムフリーザー」という製品があり、ソフトクリームと「誉の陣太鼓」を混ぜ合わせたブレンダーソフトを試作したところ、その場にいた全員が「おいしい!」と声を上げる“キセキの味”が生まれたのです。「ブレンドシステムフリーザー」は食材の形態や食感を残してブレンドできるのが特徴です。児玉さんらは「餡とミルクソフトの相性が抜群な上に、食感がアクセントになっている求肥が思わず飛び出してくる驚きと味わいが楽しめる」と評価。これは「誉の陣太鼓」だからこそ可能なおいしさだと「陣太鼓ソフト」発売にゴーサインが出されました。


つくる工程を見せてこその「陣太鼓ソフト」
当初、児玉さんら営業陣には懸念もあったと言います。「誉の陣太鼓は、できるだけ手を加えないようにしてきた商品です。その大切な商品をソフトに入れていいものかと思ったんです」。しかし、試食してみるととてもおいしい。「誉の陣太鼓」の味わいがちゃんと生きている。心配は杞憂に終わりました。売り方にも工夫が凝らされました。「誉の陣太鼓」をカットして専用カップに入れ、ソフトクリームとブレンドする工程のすべてをお客さまに見ていただくためです。「誉の陣太鼓がソフトになっていくのもおもしろいし、誉の陣太鼓はこうやって封を切ると食べやすいんですよと会話も生まれます。より親しみを持っていただけると思うんです」と児玉さん。スタッフの手元もフリーザーも見えるように透明の仕切りをつけた専用ブースを設計。給電・給水の工事をしてでも、ここがベストだという場所に設置しました。

客層が広がり、
気軽に立ち寄っていただけるように
発売すると反響は予想以上。お子さま連れのご家族、若い女性やカップルのお客さまなど客層が広がり、来店客数も目に見えて増加しました。「行列には本当にビックリでうれしい悲鳴を上げています(笑)。でも、お客さまが笑顔でカワイイ、おいしいと言ってくださるので私たちスタッフも笑顔で接客ができるんです」と熊本城香梅庵の野口さん。児玉さんも「和菓子屋というと伝統や格式といったイメージがあって、ちょっと入りにくいなと感じていた方も、このソフトクリームによって気軽に立ち寄っていただけるようになったと思います。お店に入っていただけるか、いただけないかは雲泥の差。お土産も買っていこうというお客さまも多く、相乗効果はとても大きいですね」とおっしゃいます。一過性の話題に終わることなく、発売から5年を経過しても人気は継続。今やオールシーズン売れる看板商品に育っています。

突然変異のように思いがけない商品が生まれる日世
お菓子の香梅では、「陣太鼓ソフト」を数ある商品のひとつではなく、未来の顧客開拓、若い世代への訴求、カジュアルイメージの創出、認知度の一層の向上などを推し進めるための“戦略商品”として位置付け、さらなる展開を考えています。現在、販売するのは7店舗ですが、お客さまの声や要望をもとに扱う店舗も拡充する方針だとか。新規オープンの店舗には設計段階から「陣太鼓ソフト」の売り場を織り込んでいるそうです。日世に対する信頼も厚いとのこと。「これまで機械の不具合や商材不足などで陣太鼓ソフトを販売できなかったことは1日もありません。些細なことにもすぐ対応してくださるので安心です」という野口さんに対し、児玉さんも「NISSEIさんは一緒に商品をつくり出そうという姿勢が明確で、情熱的な会社。型にはまったビジネスを押し通すようなところがなく、だからこそいろんなアイデアを試す中で突然変異のように思いがけない商品が生まれるのだと思います」と評価してくださいました。

COMPANY DATA
お菓子の香梅 熊本城香梅庵
〒860-0008 熊本県熊本市中央区二の丸1-1-2 城彩苑桜の小路
TEL 096-288-0039
URL. https://www.kobai.jp

鳩本 心哉
個人的なことですが、私の両親は熊本の天草市の出身で、小さい頃から「誉の陣太鼓」は大好きなお土産でした。ですから偶然にもお菓子の香梅様を担当させていただくことになり、光栄に感じると共にとてもうれしく思っています。
自社の看板商品、しかも伝統ある商品をアレンジするのは案外に難しく、ソフトクリームと組み合わせる場合も、上に載せたり添えたりするのが一般的です。しかし、お菓子の香梅様は銘菓を、ブレンドすることにチャレンジされ、既成の概念を覆す画期的なソフトクリームを実現されました。伝統を大切にしながらも柔軟性を併せ持ち、時代に合わせて進化していくのがお菓子の香梅様の強みだと考えます。そんなお菓子の香梅様にふさわしいパートナーとなれるようこれからも努力していきたいと思います。まず、「陣太鼓ソフト」を楽しみにして来店されるお客さまに期待以上のものをめしあがっていただけるように黒子としてしっかりサポートをすること。その上でプラスアルファとして、前任者たちがお手伝いして生まれた「陣太鼓ソフト」に続くヒット商品、ロングセラー商品を生み出せるように、最新の情報やアイデアのご提供を継続していきたいと思います。
◎掲載内容は2018年12月取材時のものですので、現在の内容とは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。