「蕎麦山猫」のオープンは平成16年10月。店主の田口敏弘さんは若い頃からそばが大好きで、そば屋を開くのが夢だった。金沢の老舗料亭で料理人の修行を積んだあと、独立して現在地に「蕎麦山猫」を開業。「もともと山が好きでしたし、ここは水がいいのでそば屋には最適の地だと、この場所を選びました」。店の外観もレイアウトも、奥さんの優子さんと一緒に考えた手作りの店だ。「オープン以来多くのお客さまに来ていただき、ありがたいと思っています」。メニューの中でも、手挽きそば100パーセントの「十割手挽きそば」が自慢の作品。かき揚げ天せいろやおろしそばも人気だ。そしてオープン2年目から手がけた「そば茶ソフト」も今ではすっかり人気商品になっている。そば茶を60度くらいの低温でゆっくり煮出し、NISSEIのソフトクリームミックスに合わせている。濾すのにも独自の調理器具を用いるなど、手間をかけ、工夫をこらしたソフトだ。そば作りにかける精神が、ソフトクリームにも生きている。「そばのソフトクリームは他にもありますが、そば茶ソフトは珍しいので、お客様も最初はちょっと驚かれますね。ひと口食べるとすぐに“美味しい！”という反応があります。珍しいものよりも、美味しくて長く愛していただけるものを作りたかったので、私も嬉しいですね」。そばを食べたあとにデザートとして楽しむ人もあれば、ソフトだけを食べに来る人もある。金沢や小松など石川県下から、月に一回、週に一回と通う常連客が多い。白山スーパー林道を利用する旅行客もよく立ち寄る。「そばも、ソフトクリームも手間をかけて丁寧に作ってお出ししていますので、ぜひ一度食べに来てください」。

現在の「珍品堂」の店舗がオープンしたのは平成元年のことだが、それ以前からこの地で木工品とおみやげ物の店を営んできた。店主の松古誠さんとお母さんの尚美さんに話を聞いた。「もともとは材木屋として、ついたてなどの木工品を作って販売していたのですが、次第におみやげ物も手がけるようになったのです。今の店長は三代目ですね」。ソフトクリームの販売開始は平成17年。「それまで、この界隈では喫茶店以外にソフトクリームを提供するお店がなかったのですよ。そこで、ぜひやってみようと思ってスタートしたのです」と誠さん。「この地ならではのソフトを作りたかったのですが、五箇山豆腐が名産品なので、そのイメージを大事にして豆乳ソフトを打ち出すことにしたのです」。スタート以来、着実にファンが増えてきた。「おみやげ物を買うついでにソフトクリームをという方はもちろん、ソフトクリームだけを食べに来られるリピーターの方も多いですよ」と尚美さん。「普通のバニラはないの？と聞かれることもありますが、まあ一度豆乳ソフトを試してくださいとお勧めするのです。すると皆さん、これは美味しいと喜んでくださいます。美味しいからと仲間に勧めてくださる人も多いですよ。はじめて豆乳ソフトを食べたという方がすっかりファンになってくださり、口コミでファンが増えています」。珍品堂では、地酒「三笑楽」をはじめ、五箇山豆腐、漬け物、和紙など、この地ならではの品揃えに力を入れている。また木工職人としての誠さん自らが工場で作った木工品も人気だ。